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(前編)日本で唯一E3/E7ガソリンを販売する中川物産様に疑問・質問を聞いてみた

日本では、2030年度までに最大濃度10%のバイオエタノールを混合したガソリン(E10)の供給開始を目指すことが決まりました。世界では一般的に使われているE10ガソリンですが、日本ではバイオエタノールの混合比率がE1.85%程度と非常に少量なのが現状です。

しかし、実は日本でもE3ガソリン、E7ガソリンを販売している企業があるのをご存知ですか?

今回は日本で唯一、E3ガソリン、E7ガソリンを販売している中川物産株式会社の中川社長をお迎えし、E3ガソリン、E7ガソリンを取り扱うことになった経緯や、実際に利用しているお客様の反応などをお聞きしました。

― 本日は、日本で唯一、バイオエタノールを直接混合したE3ガソリンとE7ガソリンの販売を展開されている、中川物産株式会社の中川社長にお話を伺っていくよ!
中川社長、本日はどうぞよろしくお願いします!

よろしくお願いします。

皆さんこんにちは。中川物産株式会社の代表を務めています、中川と申します。まず初めに私たちのご紹介をさせていただきます。

私たちは1971年にガソリンスタンド事業者として創業致しました。1980年代にはオイルターミナルの所有と運営を開始し、これまで卸売り事業を中心に強化をしてきました。その後、1996年から石油製品の輸入を開始し、2000年以降は、安定供給強化と経済性を高める目的で、石油タンカーの保有運用を行うようになりました。

成長の過程のなかで、自社グループによるオイルターミナルや海上・陸上輸送機能を強化しながら、祖業のガソリンスタンドの運営も行う一貫した流通体制を特徴とした企業グループです。

近年ではこれらの流通設備を最大限利用して、脱炭素を中心とした環境対応への取組も積極的に行っており、2011年からは通常のガソリンに植物を原料とするバイオエタノールを直接混合したE3ガソリンを、また2023年からはバイオエタノールを7%まで混合した新製品E7ガソリンを製造し、直営店舗で販売しています。

現在国内で流通している、いわゆるバイオガソリンには、その製造方法の違いによって、ETBE方式と、当社が採用している直接混合方式の2種類が流通しています。製造方法の違いによって、製品はそれぞれの特徴を持ちますが、アメリカなどのエタノール先進国では、直接混合方式が一般的で、エタノール混合比率も高くなるという利点があります。

弊社はアメリカ産のデントコーンを原料とするエタノールを輸入し、自社の油槽所で3%、7%とのエタノールをガソリンに混合したガソリンがE3、E7ガソリンです。このように高濃度の混合比率で販売しているのは、日本では当社だけです。この燃料用バイオエタノールは政府の環境促進策により、このところ話題のガソリン税が無税となっていることに加え、当社も普及促進のため、通常のガソリンと変わらぬ価格で提供できるよう努力しています。

環境に優しいガソリンであるという利点に加えて、価格差がないということもあって、E7ガソリンについても認知度の広がりに平行して販売実績は堅調に増加しています。

1997年に京都議定書が採択され、それ以降日本の石油精製会社も先ほどのETBE方式によるバイオエタノール活用を開始しました。独自でガソリンの輸入を行っていた当社も何らかの対策を試みようと、バイオエタノールを直接混合するE3ガソリン製造と、販売を開始しました。これが2011年のことです。法令改正やバイオエタノールの利用促進のための各種補助金政策も後押しとなりました。

その後、さらに法令改正が進み、バイオエタノールの混合上限が10%まで引き上げられることになりましたが、当時はまだ上限10%に対応する車両が少なく状況を見極めておりました。そして2023年に一定の環境が整ったものと判断し、バイオエタノールの混合比率を7%まで高めたE7ガソリンの販売を開始しました。

自動車の安全性や、消費者保護のため品確法(揮発油等の品質の確保等に関する法律)などにおいて、石油製品の品質規格が定められています。

現在E10ガソリン対応車は、この法律によりエタノール10%までの混合した製品の利用が認められていますが、バイオエタノールの混合比率以外の厳格な規格にも適合した製品であることが求められており、それらの基準を担保するために現在は7%にとどめています。

日本国内で唯一、直接混合方式によるE3ガソリン、E7ガソリンを販売されている中川物産様。
創業からの長い歴史の中で構築した流通基盤を使って、着実にバイオエタノール混合ガソリンを普及させる取り組みを進めてきたことがわかりました。

次回は、実際にガソリンスタンドで販売されているE3ガソリン、E7ガソリンを使用したお客様の反応や、安全性についてお答えいただきます。

中編もお楽しみに!