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(前編)E10・E20ガソリンが普及するとどうなるの?近藤先生に疑問・質問を聞いてみた

バイオエタノールをガソリンに10%、直接混合した燃料である「E10ガソリン」。日本では2030年までに本格導入が予定されており、2028年頃から一部地域での先行導入も計画されています。将来的には、混合率を20%に高めた「E20ガソリン」の導入も視野に入っています。

しかし、E10やE20ガソリンが普及することで、私たちの生活にはどのような変化が訪れるのでしょうか。今回のインタビューでは、愛知工業大学 総合技術研究所の近藤 元博先生にお話を伺い、これから日本で導入が進むE10・E20ガソリンの展望について解説していただきました。

― 本日は、愛知工業大学 総合技術研究所の近藤 元博先生に、これから日本でも本格導入が計画されているE10ガソリン・E20ガソリンと脱炭素への貢献に関するお話を伺っていくよ!
近藤先生、本日はどうぞよろしくお願いします!

はい、よろしくお願いします。

E10、E20ガソリンはバイオエタノールを直接ガソリンに混合した環境配慮型の燃料です。10%混合をE10、20%混合をE20と呼んでいます。エタノールはある程度、ガソリンに直接混合しても、ガソリン燃料の品質を損なうことはありません。そのため、二酸化炭素の削減、持続可能なエネルギー供給の実現に貢献します。

ガソリン添加はエタノール以外にもメタノール、ETBE(エチル・ターシャリー・ブチルエーテル)など、色々なものがあります。しかし世界の需要はエタノールが支配的です。

日本でも既にガソリンにはバイオエタノールが使われています。これは、バイオエタノールそのものではなく、現在利用されているのはETBEと呼ばれる化学物質です。 ETBEは、バイオエタノールにイソブテン(石油由来)を混合し、化学反応させて変換されたものになります。ETBEを利用している国は、フランス、スペイン、オランダ、日本などになります。

バイオエタノールは、例えばサトウキビやトウモロコシなどの原料を、発酵させてアルコールにします。既に製造技術が確立しており、製造コストも合成燃料と比べれば安価です。色々な国で化石燃料の代替として導入が進んでいます。

世界的にはバイオエタノール直接混合ガソリンが広く普及しており、多くの国で利用されています。日本でも、ガソリンの規格ではバイオエタノールを10%の混合まで認めています。こういった背景から、バイオエタノール直接混合ガソリンの普及に期待が高まっています。

経済産業省ではE10、E20の導入拡大に向けた方向性を示しました。具体的には2025年にこのロードマップを公表しています。

まずは、E10、E20が利用可能な車両を増やす必要があります。自動車各社は2030年代のできるだけ早い時期までに乗用車の新車販売におけるE20の対応比率を100%にしていきます。

現在はメーカーごとに車両の販売戦略が異なるために、国内全体としてE10を採用している車は新車販売の40%にとどまっています。一方で十分な時間をかければ、すべての自動車メーカーがE20までの技術に対応が可能です。2030年代までにはすべての新車がE20対応車になる予定です。

一方で、バイオエタノール混合ガソリンは車両対応、供給インフラ対応に合わせて、2028年ごろからE10の先行導入が始まります。2030年ごろには本格導入をし、2040年代からはE20の供給が始まる予定です。

日本の運輸部門から排出するCO₂は、国内全体の20%を占めています。このうち自家用乗用車から出るCO₂排出が最も多く45%。これは日本全体のCO₂の8%を占めています。

また、運輸部門のエネルギー利用実績からみると、ガソリンが全体の50%を占めています。運輸部門の脱炭素化にはガソリン自家用車への対策が不可欠です。

従来の乗用車の脱炭素化への取組みは、ハイブリッドの導入や燃費改善といったガソリンの使用量の抑制です。加えて、車両の軽量化や空力抵抗の低減による燃費向上などが考えられていました。

現在市場で保有されている乗用車のうち、ハイブリッド車は全体の22%。ハイブリッドも含めた乗用自動車の大半がガソリン利用です。これからは、電気自動車や燃料電池車の様に、脱炭素エネルギーを利用する車が増えていきます。しかし、その普及にはまだ時間が掛かります。

こういった、マルチパスウェイ対応と合わせ、内燃機関の脱炭素燃料の利用も重要です。その主役がバイオエタノール混合ガソリンになります。

バイオエタノールをガソリンに直接10%混合したものを「E10」、20%混合したものを「E20」と呼び、既に化石燃料の代替として世界で導入が進んでいることがわかりました。また、運輸部門における自家用車からのCO₂排出量が多い日本において、ガソリンにバイオエタノールを混ぜるだけで脱炭素に貢献できるE10・E20ガソリンは即効性が高いことも解説いただきました。

中編以降ではさらに詳しく、世界でのバイオエタノール直接混合ガソリンの利用状況や、期待できる脱炭素の効果について質問していきます。次回もお楽しみに!