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私たちの生活を支えるトウモロコシ
夏になると食べたくなる、甘くてジューシーなトウモロコシ(スイートコーン)。でも、私たちが普段「トウモロコシ」と呼んでいるものは、実はたくさんあるトウモロコシの種類の中のほんの一部だということを知っていましたか?
世界には、スナックになるポップコーンや、飾りとして使うカラフルなオーナメントコーンなど、個性豊かなトウモロコシが存在します。

そして、その中でもアメリカの広大な畑で栽培され、私たちの生活を陰から力強く支えているのが、今回ご紹介する「デントコーン」です。
デントコーンの形は、皆さんの奥歯と同じようにてっぺんに「くぼみ(デント)」があるのが最大の特徴です。まるで馬の奥歯のような形に見えることから、「馬歯種(ばししゅ)」とも呼ばれます。

この「へこみ」は、粒の中にある2種類のでんぷんが原因で生まれます。粒の側面は硬いでんぷん、中心部は柔らかいでんぷんでできており、乾燥する過程で柔らかい部分が縮むことで、特徴的なくぼみができるのです。
そしてこのデントコーンは、アメリカで栽培されるトウモロコシの大多数を占めています。生産高・売上高ともにアメリカ最大の農作物であり、特にアイオワ州やイリノイ州を中心とする中西部の「コーンベルト」地帯で大規模に生産されているのです。

スイートコーンとの決定的な違い
私たちが普段、茹でたり焼いたりして食べる甘いトウモロコシは「スイートコーン(甘味種)」です。デントコーンとは同じトウモロコシでも、その目的も性質も全く異なります。
収穫時期 | 味・食感 | 見た目 | 主な用途 | |
---|---|---|---|---|
デントコーン (馬歯種) | 粒が完熟し、乾燥してから | 甘みが少なく、でんぷん質で硬い | 粒が大きく、黄色い。てっぺんにくぼみ。 | 飼料、工業原料 |
スイートコーン (甘味種) | 粒がまだ未熟で、甘みがピークの時 | 糖分が多く、ジューシーで甘い | 品種によるが、粒はやや小さめ。 | 生食用 |
でんぷんが主成分のデントコーンは、スイートコーンのように生でかじっても甘くなく、硬いため生食用には向きません。畑(フィールド)で完熟させてから収穫されることから、「フィールドコーン」という別名も持っています。

また、トウモロコシの種類はこれだけではありません。様々な種類のトウモロコシが、私たちの生活を支えています。
- フリントコーン(硬粒種)
ガラス質のように硬い粒を持品種。主に南米で生産されます。 - ポップコーン(爆裂種)
おなじみのポップコーンの原料。非常に硬い皮を持つため、加熱すると内部の水分が爆発的に膨張し、あの軽やかなスナックに変わります。 - ホワイトコーン
粒が白く、白いトウモロコシ粉やコーンスターチの生産に利用されます。 - ワキシーコーン(糯種)
モチモチした食感のでんぷんを持ち、「もちトウモロコシ」とも呼ばれます。食品の増粘剤などにも使われます。 - オーナメントコーン
一粒一粒が麦のように小さな皮に包まれた、原始的な見た目が特徴。その珍しさから、主に観賞用として栽培されています。
このように多種多様なトウモロコシが、それぞれの特性を活かして人類の生活を支えてくれているのです。
アメリカの畑から、私たちの暮らしの中へ
世界のトウモロコシ生産量は年間約11億トンにものぼり、その約3分の1をアメリカ一国で生産しています。アメリカは、まさに世界最大のトウモロコシ生産国であり、輸出国なのです。

日本もそのアメリカから毎年大量のトウモロコシを輸入していますが、そのほぼ全てが飼料や加工を目的とした「デントコーン」です。食用のスイートコーンの輸入量は、全体から見ればごくわずかに過ぎません。
では、アメリカで生産されているデントコーンは、具体的に何に姿を変えているのでしょうか。その用途は牛・豚・鶏などを育てるための配合飼料、コーンスターチや異性化糖への加工用、バイオエタノールやプラスチックまで実に様々。日本でも家畜の飼料やコーンスターチやコーンフラワーの原料などとして利用されています。

このようにデントコーンは変幻自在に姿を変え、現代社会に不可欠なものとして根付いているのです。次の記事から、奥深いデントコーンの世界について、より詳しく見ていきましょう。