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バイオエタノールとは?

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バイオエタノールって知ってる?

バイオエタノールって知ってる?

「バイオエタノール」という言葉を耳にしたことはありますか?ニュースや新聞でも取り上げられる機会が増えてきたこのエネルギーは、実は私たちの暮らしや地球の未来にとって、非常に重要な役割を果たす可能性を秘めています。特に、2024年11月には経済産業省が「2030年度までにバイオエタノールを最大10%混合した低炭素ガソリンの供給開始を目指す」という方針を発表し、日本国内でも持続可能な燃料として、ますます注目が集まっています。

そんな「バイオエタノール」が具体的にどのようなものなのか、一緒に見ていきましょう。


バイオエタノールの元となる、「バイオマス」とは何?

まず、バイオエタノールを理解する上で欠かせないのが「バイオマス」という言葉です。バイオマスとは、「生物から生まれた資源(生物資源)」のこと。光合成を行う植物、木材、あるいは家畜の糞尿など、身の回りにある様々なものがバイオマスに含まれます。

バイオマスは「生物資源」のことで木、植物、家畜の糞尿など様々。

これらのバイオマスを利用して作られるエネルギーを「バイオマスエネルギー」と呼び、バイオエタノールはその代表格です。バイオマスエネルギーには、主に以下のような活用方法があります。

  • 液体燃料にする(液化)
    これがバイオエタノールの作り方です。バイオマスに含まれるデンプンや糖分を発酵させたり、化学的な処理を加えたりすることで、液体燃料(エタノールなど)に変換します。
  • ガス燃料にする(ガス化)
    バイオマスを高温で熱分解し、メタンガスなどの可燃性ガスを生成します。このガスを燃やして発電したり、都市ガスのように利用したりします。
  • 直接燃やして使う(直接燃焼)
    木質チップや間伐材などをそのまま燃やし、その熱でお湯を沸かしたり、発電したりします。

このように、バイオマスエネルギーは多様な形で私たちの生活に役立てることができ、石油や石炭といった化石燃料に代わる、環境への負担が少ないエネルギーとして期待されています。


バイオエタノールはトウモロコシやサトウキビから生成されるクリーンなエネルギー

では、具体的にバイオエタノールはどのように作られるのでしょうか? 主な原料となるのは以下のような植物たちです。

  • トウモロコシ
    アメリカの主要な原料の一つで、飼料用のデントコーンが活用されています。
  • サトウキビ
    ブラジルで広く利用されており、サトウキビを絞った搾汁の糖分が原料となります。
  • 甘藷(さつまいも)
    日本でも研究が進められており、食用に適さない規格外のさつまいもの活用などが検討されています。
  • 小麦
    ヨーロッパなどで利用されることがあり、パンなどに適さない余剰分が原料になることがあります。
主要なバイオエタノールの原料。トウモロコシ、サトウキビ、甘藷(さつまいも)、小麦。

これらの植物からバイオエタノールを作るプロセスは、私たちにとって身近な「お酒造り」と似ています。

  1. 原料の糖化
    トウモロコシの場合、まず原料となる実に含まれるデンプン質を、酵素の働きで糖分に変えます。
  2. 発酵
    糖分が含まれた液体に酵母菌を加えます。すると、酵母菌が糖分を分解し、アルコール(エタノール)を生成します。これは、ビールや日本酒、ワインなどが作られる過程と同じです。
  3. 蒸留
    最後に、発酵によってできた液体を蒸留します。蒸留とは、液体を熱して蒸気にし、それを再び冷やして液体に戻すことで、特定の成分の濃度を高める技術です。この工程を経ることで、純度の高いエタノールを取り出すことができるのです。

こうして、植物由来のクリーンなエネルギーであるバイオエタノールが生まれます。

トウモロコシは
クリーンなバイオエタノールの重要な原料

自動車から飛行機まで!広がるバイオエタノールの使い道

バイオエタノールの最も代表的な用途は「燃料」です。特に、自動車や飛行機といった私たちの移動を支えるモビリティ分野での活用が進んでいます。

ガソリンに混ぜて自動車燃料に

バイオエタノールは、ガソリンと混ぜて自動車の燃料として利用されます。例えば、バイオエタノールを10%混合したガソリンは「E10」と呼ばれ、アメリカをはじめ世界中の多くの国で既に一般的に使われています。他にも、混合率によってE3(3%混合)、E20(20%混合)、E25(25%混合)などがあり、ブラジルなどではE85(85%混合)という高濃度バイオエタノール燃料も普及しており、これに対応した「フレックス燃料車」も走っています。日本でも、冒頭で触れたように、経済産業省は2030年度までに最大濃度10%のバイオエタノール混合ガソリン(E10)の供給開始を目指しており、今後の普及拡大が期待されます。

空の旅もエコに!SAF(持続可能な航空燃料)として

近年、航空業界でも脱炭素化の動きが加速しており、その切り札の一つとして注目されているのが「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」です。バイオエタノールは、このSAFの原料としても大きな期待が寄せられています。飛行機が排出するCO₂を削減するための重要な技術として、研究開発が進められています。

どれも生物由来の資源「バイオマス」から作られる。地球上の多くの資源(バイオマス)からバイオエタノールが作られ、車やジェットの燃料などに使用される。

なぜ注目されるの?バイオエタノールの2つの大きな魅力

バイオエタノールが注目されている理由は、地球温暖化対策としての効果です。

カーボンニュートラルで地球温暖化防止に貢献

植物は、成長する過程で光合成を行い、大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収します。バイオエタノールを燃焼させるとCO₂が排出されますが、これは元々植物が吸収したCO₂であるため、実質的に大気中のCO₂濃度を増加させないと考えられています。これを「カーボンニュートラル」と呼びます。化石燃料を燃やすと地中に固定されていた炭素がCO₂として大気中に放出されてしまいますが、バイオエタノールはその心配が少ないのです。

持続可能な再生可能エネルギー

バイオエタノールの原料となる植物は、毎年栽培し収穫することができます。つまり、石油や石炭のように限りある資源ではなく、持続的に生産し利用することが可能な「再生可能エネルギー」であると言えます。

世界のバイオエタノール生産に目を向けると、アメリカが圧倒的な生産量を誇っています。その量は年間約6,000万キロリットルにも達し、これは世界全体の生産量の約54%を占めています。また、アメリカではガソリンの約10%がバイオエタノールで占められており、温室効果ガスの削減に大きく貢献しています。

バイオエタノールは、私たちの身近な植物から作られ、環境にやさしいエネルギーとして、自動車燃料や航空燃料など幅広い分野で活用されています。持続可能な社会を実現するための重要な選択肢の一つとして、バイオエタノールの可能性に注目が集まっているのです。