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バイオエタノールとは?

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ガソリンに混ぜて使われるバイオエタノール

ガソリンに混ぜて使われるバイオエタノール

バイオエタノールは、ガソリンの代わりの燃料として、あるいはガソリンに混ぜて自動車燃料として活用することが可能です。混合する割合は調整が可能で、例えばバイオエタノールを10%混合したものは「E10」、85%のものは「E85」と呼ばれます。混合率が高まるほど、化石燃料であるガソリンの使用量を直接的に抑制できるため、高いCO₂削減効果が期待されています。

現在、運輸部門、特に道路交通の分野では、脱炭素化に向けて電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の普及が進められています。
しかし、インフラ整備や車両価格などの面から、本格的な普及にはまだ相応の時間を要します。
また、長距離走行や寒冷地での性能維持、さらには災害時における電気や水素の供給継続性など、現在のEVやFCVだけでは対応が難しい条件も存在します。

こうした背景から、既存のインフラを活用できる「液体燃料」の脱炭素化が重要な課題となっています。その解決策として注目されているのが、燃焼しても大気中のCO₂を実質増やさない「カーボンニュートラル燃料」であり、その代表格がバイオエタノールです。

バイオエタノールは、E10までの濃度であれば現在の国内の車両規格に適合しているため、多くの場合は車を買い替える必要がなく、そのまま給油できます。この「既存の車両や設備をそのまま使える」という点が、即効性の高い脱炭素対策として高く評価されている理由です。

point 持っている車にE10を給油できるか、もっと知りたい人は以下の記事も見てみてね。
日本のバイオエタノール混合ガソリンの活用状況

2024年11月には、経済産業省が「2030年度までにバイオエタノールを最大10%混合した低炭素ガソリン(E10)の供給開始を目指す」という方針を固めました。さらに、2025年12月には、2028年度から沖縄本島においてE10を先行導入する具体的な計画も明らかになっています。


世界で進むバイオエタノール燃料の導入とその状況

バイオエタノールの導入は世界中で進んでおり、特にアメリカ、ブラジル、EUなどは、カーボンニュートラル実現に向けて混合率を段階的に引き上げる政策を推進しています。
例えば、バイオエタノールの普及が進んでいるブラジルでは、「E100」と呼ばれる100%エタノールの燃料も流通しており、国によっては積極的にバイオエタノールを取り入れています。世界中で、バイオエタノールは運輸部門のCO₂削減に欠かせない選択肢となっているのです。

以下、主な国々での導入状況を見ていきましょう。

アメリカ

世界最大のバイオエタノール生産国であるアメリカでは、これまでE10が一般的でしたが、近年はさらに高い混合率であるE15の通年販売が拡大しています。特に2026年5月からは、全米規模でのE15供給に向けた新たな動きも本格化しています。また、高濃度混合のE85を利用できる「フレックス燃料車(FFV)」も広く普及しており、政府による強力なインセンティブや法整備がその利用を支えています。

ブラジル

世界で最もバイオエタノール活用が進んでいる国の一つです。2025年からはガソリンへの混合率がこれまでの27.5%から30%(E30)へと引き上げられました。原料はサトウキビに加え、近年はトウモロコシ由来の生産も増加しています。100%エタノール(E100)とガソリンのどちらでも走行できるフレックス燃料車(FFV)が新車販売の多くを占めており、消費者が価格や環境負荷に応じて燃料を自由に選べるよう国が支援しています。

中国

中国でもエネルギー安全保障と環境対策の観点から導入が進んでいます。現在、天津、北京、河北省などを含む10以上の省・地域でE10の混合が義務化されており、都市部を中心に利用が広がっています。中国の規模とエネルギー消費量から、バイオエタノール導入の拡大は、今後のCO₂削減において大きな影響を持つと見込まれています。

欧州連合(EU)

EUでは「再生可能エネルギー指令(RED III)」のもと、2030年に向けた高い輸送部門の脱炭素目標を掲げています。フランス、ドイツ、スウェーデンなどを筆頭に、多くの国でE5やE10が供給されています。

これはフランスのガソリンスタンドの写真ですが、真ん中の小麦の絵はE85のポンプです。これは混合しているバイオエタノールが小麦原料であることを表しています。その右はE10ガソリンです。ガソリンスタンドの多くでバイオエタノール混合ガソリンが標準的に販売されています。

ベトナムとアジアの動向

アジア諸国でも導入の動きが活発です。ベトナムでは2026年6月からE10ガソリンの全国販売が開始される予定で、2031年にはさらに混合率を15%(E15)まで引き上げるロードマップを策定しています。

カーボンニュートラルの目標達成に向けて、今後さらに多くの国が導入を進めると期待され、持続可能なエネルギー源としてバイオエタノールの役割はますます重要になるでしょう。


日本におけるバイオエタノール混合ガソリンの活用は限定的

世界でカーボンニュートラルに向けた取り組みが進む中で、日本の現状を見てみましょう。
日本の二酸化炭素排出量を部門別で見ると、工場などの産業部門が最も多く、次いで自動車などの運輸部門が続きます。特に、運輸部門における排出量の約半分以上は自家用車(乗用車)によるものであり、この分野での削減が課題となっています。

バイオ燃料の一種であるバイオエタノールをガソリンに混合することは、既存のガソリン車をそのまま活用しながら温室効果ガスを減らせる即効性のある手段として有効です。しかし、日本国内におけるバイオエタノールの利用率は世界的に見てまだ低く、これからの普及が期待されている段階です。

法的には、広く流通しているガソリンには最大3%(E3)までエタノールが入っていることが認められています。E10適合車向けに、ガソリンに10%エタノールを混合する「E10」ガソリン規格が別途認められていますが、現状ではエタノールを直接混合したガソリンは、名古屋にある中川物産という企業が、日本で唯一エタノール直接混合のE7を販売している以外は流通しておらず、エタノールをETBEという物質に変換してから少量混合したガソリンが流通しているのみです。

他国のようにバイオエタノールを直接ガソリンに混合して利用するには至っていないのが現状なのです。

point 日本で唯一E3、E7を販売している中川物産の取り組みをチェックしよう。
(前編)日本で唯一E3/E7ガソリンを販売する中川物産様に疑問・質問を聞いてみた

日本では、他国のようにバイオエタノールを直接ガソリンに混合して利用するには至っていないのが現状

こうした背景を踏まえると、2024年11月に日本政府が発表した「2030年度までにE10(最大10%混合)の供給開始を目指す」という方針は、日本のエネルギー政策において非常に大きな一歩であると言えます。

これまで世界に比べて導入が遅れていた日本ですが、カーボンニュートラル達成に向けた対策の一つとして、バイオエタノールが明確に位置づけられ始めているのです。