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自動車とバイオエタノール

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持続可能なモビリティの実現に向けて

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自動車メーカーが取り組む環境にやさしいクルマづくり

持続可能なモビリティの実現に向け、各自動車メーカーは独自の目標を掲げて取り組んでいます。一例として、トヨタ自動車は、2050年までの地球環境への長期的な取り組みとして「トヨタ環境チャレンジ2050」を策定し、取り組んでいます。

新車のカーボンニュートラルを目指す「新車CO₂ゼロチャレンジ」。車両の組み立てやメンテナンス、廃棄まで含めたライフサイクル全体でのCO₂排出をゼロにすることを目指す「ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ」。世界中のトヨタの工場で、車をつくるときに排出するCO₂をゼロにする「工場CO₂ゼロチャレンジ」など、環境にやさしいクルマを作るためのチャレンジを続けているのです。

トヨタ自動車は、2050年までの地球環境への長期的な取り組みとして「トヨタ環境チャレンジ2050」を策定した。新車CO2ゼロチャレンジ ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ 工場CO2ゼロチャレンジなど、合計6つの取り組みを実施中

また、環境にやさしいクルマの選択肢は電気自動車だけではなく、その国の状況や電源構成によって異なります。そのためトヨタは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車、電気自動車など、多様な動力源のクルマを用意することで、その状況に応じた最適な選択ができるようにしています。

2024年5月、SUBARU、トヨタ自動車、マツダの3社は、「マルチパスウェイワークショップ」において、カーボンニュートラル実現に向けた電動化に適合する新たなエンジン開発を三社三様で宣言しました。新たなエンジンでは、モーターやバッテリーなどの電動ユニットとの最適な組み合わせを目指します。また、エンジンの小型化によるクルマのパッケージ革新に加え、多様なカーボンニュートラル燃料(合成燃料やバイオ燃料)にも対応する事で、内燃機関でのカーボンニュートラルを実現することを目指しています。

普段私たちが何気なく乗っているクルマも、地球環境への取り組みを意識して作られているのです。


燃料製造企業が取り組む、カーボンニュートラル社会の実現

カーボンニュートラル社会の実現に向け、燃料製造企業も積極的に取り組みを進めています。一例として、ENEOSグループは「脱炭素社会形成への貢献」を重点課題として掲げ、2023年5月の「第3次中期経営計画」及び「カーボンニュートラル基本計画」を軸にエネルギー分野における変革を推進しています。

ENEOSグループは脱炭素社会形成への貢献を掲げている。第3次中期経営企画 カーボンニュートラル基本計画 この2つの計画を軸に、エネルギー分野における変革を推進している

合成燃料の製造技術開発

ENEOSは、CO₂を原料とした合成燃料の製造技術開発を進めています。この燃料は水素とCO₂を合成して製造され、カーボンニュートラルな燃料として注目されています。これにより、主に運輸部門でのCO₂排出削減を実現します。

低炭素ガソリンの供給

従来のガソリンに代わる低炭素型ガソリンの供給を目指しています。具体的には、バイオエタノール+合成燃料(主にバイオエタノール)を2030年度(一部地域は2027年頃から)に10%ハイオクガソリンに混合し、2040年度に20%ガソリンに混合する計画です。この取り組みにより、既存の車両でも環境負荷を抑えることが可能になります。

再生可能エネルギーの活用

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを活用し、脱炭素社会に向けたエネルギー供給システムの構築を進めています。これにより、化石燃料に依存しないエネルギーの安定供給を実現します。

水素エネルギーの普及

水素ステーションの設置を拡大し、水素製造から供給までの一貫したシステムを構築しています。水素は燃焼時にCO₂を排出しないクリーンエネルギーであり、次世代の主力エネルギー源として期待されています。



ENEOSグループは、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しており、そのための具体的なロードマップを設定しています。その中には、「合成燃料やバイオ燃料の技術開発推進」や「化石燃料から脱却し、エネルギー供給全体の完全脱炭素化を達成」などの目標も含まれています。

ENEOSグループは、合成燃料の製造技術開発やバイオ燃料・再生可能エネルギーの活用、水素エネルギーの普及といった多岐にわたる取り組みを推進し、カーボンニュートラル社会の実現に向けたリーダーシップを発揮しています。


まとめ:地球に優しいモビリティの未来

このテーマでは、自動車のバイオエタノールの活用について解説を行ってきました。

近年、その重要性はますます高まっています。バイオエタノールは、CO₂排出削減に即効性を持つ現実的な解決策であり、カーボンニュートラル社会の実現において欠かせない存在です。

内燃機関が発明された初期、エタノールは主要な燃料として利用されていました。T型フォードもその代表例であり、エタノールを動力源として走行していました。そして現在、世界中で脱炭素の取り組みが加速する中、バイオエタノールは再び注目されています。特にエタノール10%混合ガソリン(E10)は、既存のインフラを活用しながら化石燃料の使用を削減する現実的な選択肢として、多くの国で採用されています。

エタノールは最初期の車で使用されており、近年再度注目されている

日本政府も、2030年度までにE10の供給開始を目指す方針が示されました。これは、世界に遅れを取る形ではあるものの、カーボンニュートラル社会への重要な一歩です。

バイオエタノールの普及は、CO₂排出を削減するだけでなく、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた希望を示しています。既存のエンジンやインフラを活用できる点で、実現可能性が高く、現実的な脱炭素戦略の一環として期待されています。

日本でもE10の供給開始目標が設定され、今後本格的な普及が期待されている

持続可能な社会の構築に向けて、バイオエタノールの可能性を最大限に引き出す取り組みは続いていきます。それは次世代に向けた明るい未来を築くための大切な一歩となるでしょう。