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バイオエタノールとは?

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バイオエタノールの生産と特徴

バイオエタノールの生産量は世界的に増加傾向

バイオエタノールは、世界中で持続可能なエネルギー源として注目を集めています。
その生産量においてアメリカが世界をリードしており、年間約6,240万キロリットル(2025年実績)を生産、これは世界全体の約54%を占めています。次いでブラジル、ヨーロッパが生産量を担っている状況です。

バイオエタノールを含む、世界全体のバイオ燃料の生産量は、需要とともに2000年以降急速に成長してきました。2020年以降は新型コロナウイルスの世界的流行により、移動制限や経済活動の停滞が起こったことから、バイオ燃料自体の需要が一時的に減少しましたが、再生可能エネルギーへの需要増加や環境規制の強化により、特にアメリカのバイオエタノールの生産量は2021年から2025年に向けて再び増加し続けています。
(参考:RFA U.S. Ethanol Production Set a Record in 2025, New Data Showより)

国際エネルギー機関(IEA)の予測によれば、世界のバイオ燃料の生産量は成長を続けており、2026年までに2019年比で約25%増加する見通しです。この成長は、従来の自動車用燃料に加え、航空機用のSAF(持続可能な航空燃料)などの新たな需要が寄与していると考えられています。


植物に含まれる糖分やでんぷんがバイオエタノールに

バイオエタノールの原料について詳しく見ていきましょう。

主な原料は以下の3つです:

  1. トウモロコシ:特にアメリカで広く使用されています。トウモロコシに含まれるでんぷんを糖化し、発酵させてエタノールを生産します。
  2. サトウキビ:ブラジルなど熱帯地域で主に使用されます。サトウキビに含まれるショ糖を直接発酵させて生産します。
  3. 小麦:ヨーロッパなどで使用されています。小麦のでんぷんを糖化して発酵させます。

これらの作物に含まれる糖分やでんぷんが、バイオエタノール生産の材料となります。

3つの主要なバイオエタノールの原料。トウモロコシ、サトウキビ、小麦。

私たちが日常的に接するアルコール飲料に含まれるエタノールも、実はバイオエタノールの一種です。

例えば、日本酒は米を原料とし、ビールは大麦を原料としていますが、これらも植物由来のエタノール、つまりバイオエタノールです。

トウモロコシが原料の場合の、バイオエタノールの一連の製造プロセスは以下の通りです:

  1. 粉砕(ふんさい):細かく砕いて「下ごしらえ」
    トウモロコシなどの原料を細かく砕き、水を加えて「スラリー」と呼ばれるおかゆのようなドロドロの状態にします。原料を細かくして表面積を広げることで、次の工程をスムーズに進めるための下準備です。
  2. 糖化(とうか):酵素で「糖」に変える
    ドロドロになった液体に、「アミラーゼ」という酵素を加えます。酵素を使って、植物の主成分であるでんぷんを小さくて甘い「糖」に分解します。
  3. 発酵(はっこう):「酵母」の力でアルコールを生み出す
    糖が溶け込んだ液体に、今度は「酵母」を加えます。酵母は糖を食べて分解し、その副産物として「アルコール(エタノール)」と「二酸化炭素」を作り出します。ビールやワインといったお酒を造るのと同じプロセスです。
  4. 蒸留(じょうりゅう):温度の違いを利用してアルコールだけを集める
    発酵が終わった液体を加熱します。水は100℃で沸騰しますが、アルコールは約78℃という低い温度で沸騰して蒸気になります。この沸騰する沸点の違いを利用し、先に蒸発してきたアルコールの蒸気だけを集めて冷やすことで、アルコール濃度を高めます。
  5. 脱水(だっすい):水分を絞り切る
    燃料として使うためには、残っているわずかな水分も完全に取り除く必要があります。そこで、「分子篩(ぶんしふるい)」という特殊なフィルターを通します。これは水分子だけをキャッチする技術です。これにより限界まで水分を取り除き、純度99.5%以上という、高濃度のバイオエタノールが完成します。

下記の図の通り、粉砕した後のドロドロの液体が、最後には透き通るアルコール(バイオエタノール)に生成されます。


バイオエタノール生産過程で生成される有用な併産物

バイオエタノールの生産過程では、主製品のバイオエタノール以外にも有用な併産物が生成されます。特にトウモロコシを原料とした場合、
以下の2つの重要な併産物が得られ、それぞれ異なる産業で有効活用されています。

1. ジスチラーズグレイン(Distillers Grains):

バイオエタノールの製造過程で生まれる代表的な併産物が、ジスチラーズグレインです。
これは、トウモロコシからエタノールの元となるでんぷんだけを取り出した後に残る固形物(絞りかす)を指します。一般的に絞りかすと聞くと不要なもののように思われがちですが、実は全く逆です。エタノールに変換されたでんぷんが抜け落ちたことで、残ったタンパク質や良質な油分といった大切な栄養素が凝縮され、付加価値の高い資源へと生まれ変わります。
このジスチラーズグレインは、牛や豚、鶏などを健康に育てるための家畜用飼料(エサ)として活躍しています。栄養満点でありながら安価で手に入るため、畜産農家の「飼料コスト」を大幅に削減できる手段として重宝されています。

2. 二酸化炭素(CO₂):

もう一つの重要な併産物が「二酸化炭素(CO₂)」です。
これは製造プロセスの「発酵」工程において、酵母が糖を食べてアルコールを生み出す際に発生する気体(ガス)です。CO₂と聞くと、工場の煙突から出る排気ガスを想像される方も多いですが、バイオエタノール工場から生まれるものは全く性質が異なります。
トウモロコシと、自然界にいる微生物の働きから生み出されるため、不純物がほとんど混ざっていない極めて純度が高くクリーンなガスであるのが最大の特徴です。このガスは専用の設備で回収され「炭酸飲料」や「ドライアイス」の原料として活躍しています。

これらの併産物の活用により、バイオエタノール生産の経済性が向上し、同時に資源の無駄を減らすことができます。
例えば、10万キロリットルのエタノール生産がされれば、10万トンのジスチラーズグレインが同時に生産され、家畜飼料原料として利用することが可能となります。

トウモロコシからエタノールを生産する際に、併産物としてジスチラーズグレインが作られ、それが畜産業で使用されることで、間接的にたんぱく質の供給にも貢献しています。

point ジスチラーズグレインやトウモロコシから作られる併産物についてもっと知りたい人は
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