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バイオエタノールとは?

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バイオエタノールの生産と特徴

バイオエタノールの生産量は世界的に増加傾向

バイオエタノールは、世界中で持続可能なエネルギー源として注目を集めています。その生産量においてアメリカが世界をリードしており、年間約6,000万キロリットルを生産、これは世界全体の約54%を占めています。次いでブラジル、ヨーロッパが生産量を担っている状況です。

世界全体のバイオエタノール生産量の約54%(6,000万キロリットル)をアメリカで生産。

バイオエタノールを含む、世界全体のバイオ燃料の生産量は、需要とともに2000年以降急速に成長してきました。2020年以降は新型コロナウイルスの世界的流行により、移動制限や経済活動の停滞が起こったことから、バイオ燃料自体の需要が一時的に減少しました。しかし、長期的には再生可能エネルギーへの需要増加や環境規制の強化により、バイオエタノールを含むバイオ燃料の生産量は増加傾向に転じると予測されています。

国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2026年までにバイオ燃料の生産量は2019年比で約25%増加すると見込まれています。

バイオ燃料の生産量は2019年比で
2026年までに約25%増加すると見込まれています。

植物に含まれる糖分やでんぷんがバイオエタノールに

バイオエタノールの原料について詳しく見ていきましょう。

主な原料は以下の3つです:

  1. トウモロコシ:特に北米で広く使用されています。トウモロコシに含まれるでんぷんを糖化し、発酵させてエタノールを生産します。
  2. サトウキビ:ブラジルなど熱帯地域で主に使用されます。サトウキビに含まれるショ糖を直接発酵させて生産します。
  3. 小麦:欧州などで使用されています。小麦のでんぷんを糖化して発酵させます。

これらの作物に含まれる糖分やでんぷんが、バイオエタノール生産の鍵となります。

3つの主要なバイオエタノールの原料。トウモロコシ、サトウキビ、小麦。

私たちが日常的に接するアルコール飲料に含まれるエタノールも、実はバイオエタノールの一種です。
例えば、日本酒は米を原料とし、ビールは大麦を原料としていますが、これらも植物由来のエタノール、つまりバイオエタノールです。

トウモロコシが原料の場合の、バイオエタノールの製造プロセスは以下の通りです:

  1. 粉砕:原料を粉砕し、水を加えてスラリー(どろどろした液体)にします。
  2. 糖化:酵素(アミラーゼなど)を加えて、でんぷんを糖に分解します。
  3. 発酵:酵母を加えて、糖をエタノールに変換します。
  4. 蒸留:発酵液を加熱し、沸点の違いを利用してエタノールを分離します。
  5. 脱水:最後に分子篩などの技術を使用して、残りの水分を除去し、99.5%以上の純度のバイオエタノールを得ます。
トウモロコシが原料の場合の、バイオエタノールの製造プロセス。01.粉砕、02.糖化、03.発酵、04.蒸留、05.脱水。

バイオエタノール生産過程で生成される有用な併産物

バイオエタノールの生産過程では、主製品のバイオエタノール以外にも有用な併産物が生成されます。特にトウモロコシを原料とした場合、以下の2つの重要な併産物が得られ、それぞれ異なる産業で有効活用されています。:

1. ジスチラーズグレイン(Distillers Grains):

  • エタノール抽出後に残る固形物で、たんぱく質や油分に富む付加価値の高い家畜飼料原料です。
  • 牛や豚や鶏の飼料として活用されており、安価で栄養価の高い飼料原料として、飼料コストの削減に貢献しています。

2. 二酸化炭素(CO₂):

  • 発酵過程で生成される気体であり、次のような用途で活用されています。
  • 回収したCO₂は炭酸飲料、ドライアイスの製造などに活用されています。通常の工場から排出されるものとは異なり、不純物がほとんどなく高純度で、使い勝手が良いものとなっています。
2つの重要な併産物。ジスチラーズグレインは良質な家畜飼料として。二酸化炭素(CO2)は炭酸飲料やドライアイスなどに活用されている。

これらの併産物の活用により、バイオエタノール生産の経済性が向上し、同時に資源の無駄を減らすことができます。例えば、10万キロリットルのエタノール生産がされれば、10万トンのジスチラーズグレインが同時に生産され、家畜飼料原料として利用することが可能となります。