バイオマスエネルギーは身近な「生物資源」から生まれる
バイオエタノールはバイオ燃料の一種で、バイオマスとは「生物資源」のことを指します。植物や家畜の糞尿など、多様な原料から作られます。
バイオマスを利用して生産されたエネルギーを「バイオマスエネルギー」と呼び、エネルギーの生産や利用の方法も様々です。
- 液化:バイオマスを液体燃料に変換(バイオエタノールはこの方法で生成)
- ガス化:バイオマスを高温で加熱し、可燃性ガスを生成
- 直接燃焼:バイオマスを燃やして熱や電気を得る
このように、バイオマスエネルギーは様々な形で利用でき、化石燃料の代替として環境負荷の低減に寄与すると期待されています。
バイオエタノールはトウモロコシやサトウキビから生成されるクリーンなエネルギー
バイオエタノールは、私たちの身近な植物から作られるクリーンなエネルギーです。主な原料には以下のようなものがあります。
- トウモロコシ:アメリカの主要な原料で、穀物の余剰分を活用
- サトウキビ:ブラジルで広く使用され、砂糖生産の副産物を利用
- 甘藷(さつまいも):日本での研究が進んでおり、食用にならないイモを活用
- 小麦:ヨーロッパで使用され、パンなどに使用されない余剰分を利用
バイオエタノールの生成過程は、ビールやお酒を作る過程と同じです。
- 原料の糖化:植物のでんぷんを糖に分解
- 発酵:酵母を加えて糖をアルコール(エタノール)に変換
- 蒸留:アルコール濃度を高めて純度の高いエタノールを得る
このプロセスで生成されたバイオエタノールは、様々な形で利用されています。
- 世界各国ではE3(3%混合)やE10(10%混合)、E20、E25、E85などの様々な比率で混合されたガソリンが使用されています
- 日本ではバイオエタノールを利用した成分を2%弱ガソリンに混合して利用されています
- フレックス燃料車:アメリカのフレックス燃料車というE85(バイオエタノール85%)でも走行可能な車両も走っています
- ガソリンに混合して車の燃料として利用されているほか、航空業界の脱炭素の切り札の一つのSAFと呼ばれる「持続可能な航空燃料」の原料としても大きく期待されています
バイオエタノールが注目されている理由は、地球温暖化対策としての効果です。
- カーボンニュートラル:植物が成長過程で吸収したCO2と、燃焼時に排出されるCO2がほぼ同量になるため、大気中のCO2増加を抑制できます
- 再生可能エネルギー:原料となる植物は毎年栽培可能なため、持続的な利用が可能です
世界のバイオエタノール生産は、アメリカが圧倒的に多く、年間約6,000万キロリットル(世界全体の54%)を生産しています。アメリカでは、ガソリンの約10%がバイオエタノールで占められており、温室効果ガスの削減に大きく貢献しています。