米国インフレ抑制法(Inflation Reduction Act, IRA)
2022年8月16日、アメリカで成立した「インフレ抑制法(歳出・歳入法)」、通称IRA(Inflation Reduction Act)法。過度なインフレ(物価の上昇)を抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律。
表:インフレ削減法の歳出・歳入の概要(単位:億ドル)
出所:JETRO地域・分析レポートを引用(インフレ削減法は、気候変動対策に軸足(米国) | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ (jetro.go.jp))
気候変動に歳出全体の約8割に当たる約3,910億ドルが充てられた。これにより、国際公約として示した目標である、2030年までに温室効果ガス(GHG)を2005年比で50~52%削減をベースにした、気候変動対策への歳出に力点が置かれている。米国エネルギー省は、このインフレ削減法とインフラ投資雇用法に盛り込まれた気候変動対策によって、2030年までにGHG排出量を40%削減できると試算している。
クリーンエネルギー導入に伴い認められる税額控除は以下の通り
- クリーン生産設備:太陽光パネル、風力タービン、バッテリーなどを製造するための設備投資や、化学、鉄鋼、セメントの工場などで大気汚染を削減するための設備の導入
- 二酸化炭素回収・貯留(CCS)、直接空気回収(DAC)、石油増産回収(EOR)など:2032年までに建設を開始したCCS関連施設を対象に、既存の税額控除額の拡充。DAC(大気からの直接炭素回収)やEOR(原油回収促進)の施設
- 家庭での太陽光発電設備の設置に対する税額控除の延長:太陽光発電設備など(購入額の30%まで)
- 省エネ機器の購入:省エネ機器を購入する場合、1世帯あたり最大1万4,000ドル還付
- 原子力発電、持続可能な航空燃料(SAF)、クリーン水素などの燃料エネルギー製造
- 電気自動車(EV)の購入に伴う税額控除