「エタノール・プロデューサー・マガジン2023年3月号」に掲載された『Making Every Point Matter』の参考和訳を掲載いたします。
(参考和訳)
2023年2月15日|エタノール・プロデューサー・マガジン編集者 トム・ブライアン
米国インフレ抑制法(IRA)の成立により、炭素回収と隔離はもちろんのこと、その利用も加速され、持続可能な航空燃料の生産における私たちの役割も明確になってきた。
炭素回収貯留(Carbon Capture and Sequestration, CCS)と持続可能航空燃料(Sustainable Aviation Fuel, SAF)の両方を取り上げ、エタノール工場が共同、あるいは単独で行う炭素隔離から、従来から利用されているCO2の利用や新たなCO2変換技術まで、業界における多様な炭素回収の取り組みが、全米各地で始まっている。
エタノール工場でのCCSは、喉から手が出るほど欲しい施設である。なぜなら、エタノール発酵から出るCO2は非常に純度が高く、その変換、移動、貯蔵が容易なためである。エタノール工場は、まさに産業用炭素回収技術の利用にとって「すぐに手にはいるもの」であり、より大きな利用を目標とするCCS開発者にとって理想的なエントリーポイントなのである。実際、コロラド州に本社を置くカーボン・アメリカ社は、「身近なところで炭素を回収する」をテーマにしている。同社は、コロラド州北東部に2カ所、ネブラスカ州に1カ所の工場を持つコロラド・アグリ・プロダクツ社と連携している。カーボン・アメリカ社は、最終的には発電やセメント製造などのその応用が難しい産業向けのCCSを開発したいと考えているが、エタノール工場は「より低コストで、より早く導入できる」機会であるため、まずエタノール工場から着手している。また、IRAの成立により、CCSに対する高額な税額控除(現在は1トン当たり85ドル)が適用され、経済的にも理想的である。
最終的には、CCSを行うことで、各コロラド・アグリ・プロダクツ社のエタノール工場の炭素強度(CI)スコアを25ポイント以上下げることができ、カリフォルニアやその他の低炭素燃料市場において、そのエタノールに多大な価値を与えることができると期待される。CI削減は、現在エタノール生産においてほとんどどこでも行われている。発酵CO2の隔離ほどCIを下げられる投資の余地はほとんどないが、再生可能エネルギーの導入による化石燃料の使用削減、併産物ジスチラーズグレインの非乾燥利用、プロセスの効率化によって、2桁のCI削減を達成することができる。ホワイトフォックステクノロジーズ社は、製造販売している脱水工程装置のプロセスへの熱の統合性向上、天然ガスの消費量の最大50%削減、蒸気消費量の抑制を通じた脱炭素化により、エタノール工場でのCIの8ポイント削減を可能にしている。これらの技術の導入により、各エタノール生産者がネットゼロへの道を急ぎ始めている。
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(参考和訳)
米国エタノール産業が推進する様々な脱炭素化手段.pdf