アメリカ穀物協会では、米国産の大麦、トウモロコシ、
グレイン・ソルガム、及びその関連製品を取り扱っています。
さまざまな穀物の中でも、大麦は亜北極圏から亜熱帯まで、幅広い自然環境に適応した作物です。大麦は、ロシア、オーストラリア、ドイツ、トルコ、そして北米で大規模に栽培されています。世界の主な輸出国は、EU、オーストラリア、およびカナダです。
大麦生産地は、北部平原諸州と太平洋側北西部に集中しています。大麦は、生育時期が比較的短く、米国では低温で乾燥した気候の地で生産されています。
大麦は、六条大麦と二条大麦に分類され、その大きな違いは穂の穀粒のつき方にあります。
大麦は飼料、食品、麦芽用として栽培されています。飼料用大麦は、すべての家畜の飼料に利用されています。大麦は米国において、輪作に組み入れることで環境的な利点をもたらす地域、またはカリフォルニアのように輸送に便利な地域において人気の高い穀物です。大麦は短期栽培の早生作物で、米国では潅漑、非灌漑の両地で栽培されています。
大麦に含まれるエネルギーは動物にとって、それほど容易に消化吸収されるものではありませんが、トウモロコシよりも蛋白質を多く含むので、飼料配合における蛋白質サプリメントの使用を減します。したがって、大麦は生産される量が少ないにもかかわらず、米国では飼料穀物として、トウモロコシ、グレイン・ソルガムと競合しています。米国で生産される大麦のほとんどが、価格プレミアムを期待できるモルト大麦となります。歴史的には家畜がほとんどの米国産大麦を消費していましたが、今では食品・工業用途の消費量が増え続け、飼料用途の大麦は減少しています。
大麦はまた主食としても人気があり、植物蛋白の増量剤としてスープに使用されたり、製粉されたりします。食品用大麦のほとんどは、パール丸麦、または大麦粉です。パーリングは、外皮と穀粒のふすま層をとりのぞく研磨加工を含みます。パーリング処理の副産物である大麦粉は、米国においてはベビーフードやその他の専門分野で使用されます。大麦の平たいパンや粥などは、北アフリカやアジアの様々な地域で広く食されています。
伝統的な二条、六条大麦に加え、裸大麦の品種も食品用途において開発されています。裸大麦は、加工前の洗浄が最小限で済みます。大麦は繊維質や抗酸化作用に富み、また、コレステロール・フリー、低脂肪など、栄養面でも優れています。現在行われている大麦研究の多くが、大麦の潜在的な健康上の利益に焦点を合わせており、米国では、2006年5月に米国食品医薬局が大麦製品に対して「食生活の改善に利用することによって、冠状心疾患の危険を軽減する」という健康強調表示(ヘルスクレーム)を認可しています。米国産β-グルカン大麦は、通常の大麦や玄米よりも食物繊維が豊富に含まれ、日常的に主食として摂取することで便通の改善、血糖値上昇の抑制、コレステロール値の正常化、生活習慣病の予防などが期待できる健康志向の優秀食材です。
大麦からモルトを製造する際、必要な生育条件を整え、大麦を浸水して発芽させます。発芽した大麦をグリーンモルトといいます。その後、グリーンモルトはキルンで乾燥またはローストされ、洗浄後、長期間にわたり保存されます。残留物や発芽部分などの副産物は、分けられて飼料として使用されます。モルトは本来、中間的産物であり、さらに加工工程が必要となります。生産された大部分のモルトはビール製造に使われ、残りはウイスキーなどのハード・リカーの蒸留酒産業、およびケーキミックスやパンの製造など食品産業によって使用されています。
二条大麦および六条大麦の品質はどちらも製麦と醸造に適しており、醸造業界は両方使用して麦芽酒を製造しています。米国麦芽製造者の多くは、六条品種を好みますが、これは一般的に六条大麦がタンパク含量と酵素含量が多く、二条大麦は一般的に最低容積量、粒の充実度、およびでんぷん含量が高いためです。醸造者は総タンパク質、可溶性タンパク抽出、粗挽き/細挽きの差、ジアスターゼ値、およびアルファ・アミラーゼ値に基づいてモルトを評価します。 高いジアスターゼ値とアルファ・アミラーゼ値は、醸造所で米国産大麦を大変効率良くモルトに仕上げます。