「エタノール・プロデューサー・マガジン2022年3月号」より『エタノールで危機を乗り越える』

「エタノール・プロデューサー・マガジン」に掲載された『エタノールで危機を乗り越える』の原文の英語版と参考和訳を掲載いたします。

 

(参考和訳)

『エタノールで危機を乗り越える』

エタノールが過去30年間に米国で数千万トンの温室効果ガス排出を削減した主要な手段であることは十分に証明されているにもかかわらず、現在の気候政策提案はほとんどエタノールを無視しています。

ロン・ランバーティ¹ |2022年2月17日

若い人たちは、「この危機がもたらすチャンスを見逃すな」という言葉から、2008年のウォール街のメルトダウン後のシカゴ市長、ラーム・エマニュエルの言葉を連想するかもしれません。しかし、実はこの言葉は、第二次世界大戦末期のヤルタ会談で、ロシアがイギリス、アメリカとともに国際連合の設立に合意したことを説明したウィンストン・チャーチルによるものです。危機を利用するというのは嫌な感じがしますが、この二人は危機がもたらす特別な注目を利用して、「平時」には成し遂げられなかった良いことを成し遂げたのだと説いたのです。

しかし、さらに正確には、ニコロ・マキアヴェッリがこの二人よりも400年以上も前に「良い危機がもたらすチャンスを決して見逃すな」と説いた最初の人間です。彼は必ずしも温厚で柔軟性がある博愛主義者ではなかったので、自分の利益のために危機を悪用する人を信用してはならないと、おそらく自然に(そして賢明に)そう説いたのでしょう。

政策立案者、環境保護主義者、環境保護庁の現在の行動を見ると、彼らが気候の危機について話すときの「危機」の定義について、また、おそらくその危機を見逃しているのだと気付いているかどうか、疑問を感じます。例えば、家が火事になったのに消防車が来ないというような「危機」を考えたとき、ホースやバケツなど水の出るものなら何でも持ってきて、火を消したり、少なくとも燃え広がらないようにしたりしないでしょうか。さらに言えば、水を大量に使うからと消防車を呼ぶのを拒否するとか、消防車が現れたら、それを追い返して電気消防車を待つとかするでしょうか?

エタノールは、カリフォルニア州の低炭素燃料基準(LCFS)の最初の10年間で数千万トン、大気浄化法が成立してからの35年間で数億トンの温室効果ガス(GHG)排出を削減する主要なツールであることは十分に証明されているにもかかわらず、現在の気候危機政策案ではエタノールはほとんど無視されています。歴史的に見れば、エタノールに反対する人たちは、誤った情報に基づいた論理や反証(現在も同じである)に基づいて活動していましたが、現在はより不誠実な反対が増えてきています。彼らは、エタノールが有効であることは知っているのにかかわらず、気候政策にエタノールを含めると、電気自動車の普及を遅らせたり、台無しにしたりすると考えている確信犯なのです。

しかし、昨年、電気自動車² を購入しなかった97%のドライバーは、フレックス燃料車も購入しませんでした。テレビコマーシャル、巨額のリベート、推進派による新しい選択肢の喧伝の中、2021年はプラグイン電気自動車にとって過去最高の年となり、昨年の乗用車販売台数1550万台の2.8%にあたる43万5000台という堅調な数になりました。また、昨年は過去最高の80万台のハイブリッド車を購入し、米国の電動車³ 販売台数は875万台となり、そのうち725万台が液体燃料も併用するハイブリッド車でした。

エタノールの利用増大はEVの減少をもたらす訳はなく、今すぐ排出量を減らすことによる今日の気候変動への対応を意味するのです。自分の家が焼け落ちないようにするのを誰も止めることができません。高価なミネラルウォーターを満載した電気消防車が来るから消火するのはそれまで待てと言うことなどできないのです。エタノールは火事の原因にはなりませんが、消火には役立ちます。エタノールに否定的な人がいても、エタノールという消防ホースで消火し、いずれ私たちに感謝するようになると伝えるのもよいかもしれません。

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1)ロン・ランバーティ、米国エタノール連合(American Coalition for Ethanol)
2)ここでは電池からの電力のみで走る電気自動車を指す
3)バッテリー電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車の総称

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以下から英語版と参考和訳をPDFデータにてダウンロードできます。

(英語版)

Letting-a-Good-Crisis-Go-to-Waste.pdf

(参考和訳)

エタノールで危機を乗り越える.pdf

 

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