「エタノール・プロデューサー・マガジン」に掲載された『環境と経済を両立させる切り札・・・バイオエタノール』の原文の英語版と参考和訳を掲載いたします。
(参考和訳)
バイオ燃料の生産者が、地球環境を守る先頭に立つと同時に輸送用燃料の大規模生産者であるという、とてもユニークな立場にあることの真の意味を理解している人は、あまりいません。しかし実際には、カナダの気候変動に関する目標達成の一翼を担う立場にあるのです。
アンドレア・ケント¹ |2022年2月21日
気候変動と戦うためには、「経済と環境を両立させなければならない」というのは、もう誰もが耳にしたことがある言葉でしょう。2015年にパリ協定が締結されて以来、政策立案者や産業界のリーダーたちは、このメッセージを広め、このバランスを模索してきました。2022年の現在、カナダと米国は2050年までのゼロカーボン(炭素排出量をゼロにする)を目指し始めています。
気候政策は、その核心においては、選択の積み重ねになります。成否の差が大きければ大きいほど、より良い選択をしなければなりません。しかし、将来的に有益な選択だとわかっていても、現時点でそれを選ぶことは必ずしも容易ではありません。気候変動対策はそのような、言わば曲芸のようなものです。
このように考えると、バイオ燃料生産者はユニークな立場にあります。地球環境を守る先頭に立つと同時に輸送用燃料の大規模生産者であることの意味を理解している人は、あまりいないでしょう。新たなネットゼロ政策を進めるにあたって、バイオ燃料がカナダの気候変動対策と経済的繁栄の両立を支援するための重要な役割を担うことができるのです。
走行時の排出だけでなく
カナダは2030年までに40~45%の排出量削減を達成し、2050年までに排出量ゼロを達成することができるでしょう。しかし、それをどのように実現するかで大きな差が生じます。カナダは、2035年までに販売するすべての新車をゼロ・エミッション車とすることを義務付けることを提案しています。しかし、この政策案は、現在のところ、走行時の排出量にのみ焦点が当てられています。カナダの目標を達成するためには、科学的根拠に基づくアプローチが最も重要であり、世界的に最も優れた科学的見地からは、ライフサイクルの炭素排出量を考慮する必要性が指摘されています。燃料のライフサイクル評価(LCA)は、特定の燃料やエネルギー源のライフサイクル炭素強度を計算するものです。LCAは、カナダと米国の燃料規制においてすでに広く用いられており、カナダの新しいクリーン燃料規制の基礎となっています。2035年時点で販売されるすべての乗用車の新車について、排気ガスからの排出量だけでなく、ライフサイクル評価でネットゼロとなるエネルギーを燃料とするべきです。
現在のバイオ燃料でもネットゼロが可能
エタノールは、従来のガソリンと比較して、すでに約50%の温室効果ガス排出量を削減しています。さらに、現在開発されている技術を導入することによって、適切なLCAの計算による炭素排出量が正味でゼロの燃料であることがわかります。ここで不可欠なのは、ネットゼロ政策が種々の技術を中立に評価することです。この技術的中立性は、自分のライフスタイル、予算、排出量の目標に最も適した燃料を柔軟に選択して、消費者がそのメリットを得るために重要です。
現実的解決策をさらに
エタノールは、気候変動に対する今すでに実行されている経済的な手段です。現在の気候変動に関する対話の多くは、緊急性や、野心的かつ劇的なシフトに焦点が当てられています。しかし、すでに私たちが持っている自由に使える現実的な解決策を忘れてはなりません。カナダのクリーン燃料規制案では、全国的にバイオ燃料の混合率を上げる方向で進んでおり、オンタリオ州とケベック州ではE15への移行が進められています。給油するガソリンへのバイオ燃料の混合率を高くする簡単な切り替えが、未来の低炭素を推進し、不必要な運輸部門の排出を回避する最も早い方法なのです。
より少ない排出量のために、より多くのエタノールを
炭素排出量をさらに削減するための、クリーン燃料プロジェクトに対するインセンティブや、持続可能な航空燃料(SAF)を奨励する政策が実施されれば、カナダのバイオ燃料生産者にとって、炭素排出量の削減と新市場への拡大を続けるために必要な政策シグナルとなります。最後に、消費者のアクセスを拡大し、給油所での手ごろな価格の低炭素燃料の選択肢を幅広く提供するためには、インフラ投資への支援が必要になります。
カナダの気候変動への取り組みに対して、石油やガスの経済的重要性との緊張関係は避けられないでしょう。しかし、もし政府が本当に「手を取り合う」アプローチを望むのであれば、気候変動と経済を互いに対抗し合うのではなく、協調させなければなりません。それは困難なことのように思えるかもしれません。しかし、成功させることは可能で、そのための現実的な解決策が存在するのです。
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1. アンドレア・ケント、カナダ再生可能燃料産業協会副理事長
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(英語版)
Want-the-Environment-and-the-Economy-to-Go-Hand-In-Hand_-Reach-for-Ethanol.pdf
(参考和訳)