「エタノール・プロデューサー・マガジン2022年5月号」より『GHG排出ネットゼロおよびネットネガティブエタノールの実現』

「エタノール・プロデューサー・マガジン」に掲載された『GHG排出ネットゼロおよびネットネガティブエタノールの実現』の原文の英語版と参考和訳を掲載いたします。

(参考和訳)

『GHG排出ネットゼロおよびネットネガティブエタノールの実現』

気候変動に配慮した農法、エタノール工場の効率化、施設からの生物起源CO2の回収・隔離により、エタノールは温室効果ガス排出ネットゼロとネットネガティブを達成する軌道に乗っており、これはエタノールに独自のものである。

2022年4月20日
ブライアン・ジェニングス、米国エタノール協会(American Coalition for Ethanol)

誰もが「ネットゼロ」排出の未来に貢献することを公約している。そのような状況の中、米国エタノール協会(ACE)がこの取り組みにどれだけ真剣に取り組んでいるかを強調するために、2021年の最終会議で、ACE協会の理事会は「理事会は、エタノールが気候および健康ソリューションの一翼を担うと認識しつつ、農家やエタノール生産者の活動をクレジット化し、2030年までにガソリンと比較してライフサイクルGHG排出量を平均70%以上削減し、2050年までにライフサイクルGHG排出量がネットゼロに到達できるような政策を州や連邦レベルで採用することを支持する」との決議を採択した。

このように今世紀半ばまでにネットゼロ排出を達成すると宣言している中で、米環境保護局(EPA)は現在、バイオ燃料のGHG排出量に関する想定について見直した。この過程で ACE は EPA に対し、「コーンスターチ」エタノールを先進バイオ燃料の対象外とする政治的な差別条項にかかわらず、今日のトウモロコシエタノールは再生可能燃料基準における「先進バイオ燃料」の定義を満たしていると説明してきた。

米国エネルギー省の最新の、温室効果ガス、規制排出量、技術におけるエネルギー使用(GREET)モデルによると、平均的なトウモロコシエタノールはガソリンと比較して GHG 排出量を 50%削減する。つまり、いわゆる次世代作物やバイオ燃料、あるいは電気自動車やそれを支えるまったく新しいサプライチェーンを待たずとも、気候変動への取り組みをすぐに開始することができる。さらに、気候変動に配慮した農法、エタノール工場の効率化、施設からの生物起源 CO2の回収と隔離により、エタノールがネットゼロとネットネガティブの両方の排出量を達成する軌道に乗るという、エタノール独自の軌道を強調している。

また、低炭素のE15以上の混合燃料の使用を増やすために、新たな政策を実施する必要があることも明らかにした。ミネソタ州のような中西部の州が採用するクリーン燃料基準であれ、連邦政府の新しいプログラムであれ、EPAの時代遅れの分析は実情を誇張しているため、新しい政策は、エタノールのライフサイクル GHG 排出量を決定するための最新のGREETモデルを遵守する必要がある。

GREETモデルは、世界的な絶対的な基準である。EPAの2010 年評価とは異なり、アルゴンヌの科学者が GREETで使用する仮定と推計は常に見直されており、モデルの更新は毎年行われている。世界中の 4 万人以上のユーザーが、燃料技術のライフサイクル GHG(温室効果ガス) 影響を判断するために GREETに依存しているだけでなく、このモデルは、カリフォルニア州低炭素燃料基準およびオレゴン州クリーン燃料プログラムで使用される評価の基礎となっている。ミネソタ州で審議中のクリーン燃料基準を定める法案は、最新のGREETモデルの使用を法律で義務付ける予定である。

GREET モデルは、減耕栽培のトウモロコシ生産、効率的な肥料使用、トウモロコシによる土壌炭素隔離の採用の増加を考慮し、間もなく更新される見込みである。GREETモデルがこれらのアップデートを反映した場合、トウモロコシエタノールは GHG がネットゼロの領域に近づくことになる。

そのため ACE は、EPA やカリフォルニア大気資源局(CARB)などの市場規制当局に対し、土壌炭素モデルや GREETを適用して、トウモロコシエタノールの GHG排出量を減らすのに役立つ気候変動に配慮した農法に炭素クレジットを付与するよう働きかけている。CARB はエタノールに炭素ペナルティ(土地利用変化など)を与えるモデルを積極的に使用しているにもかかわらず、バイオ燃料に農地レベルの炭素クレジットを提供しない理由として、地域ごとの評価の「必要性」を挙げている。

このような妨害を打破し、市場規制当局に特定の農法に対する炭素クレジットを提供するよう説得するため、ACEは、ダコタエタノール周辺の農家に、炭素やその他の温室効果ガスを隔離する気候的に優れた農法を実施するための費用を支払うパイロットプロジェクトを主導している。私たちは現場レベルのデータを収集し、既存の土壌炭素モデルを評価し、これらの気候変動に対応した農法の温室効果ガス削減効果を検証する予定である。最終的な目標は、既存のモデルの信頼性を高め、農家やエタノール生産者が農場レベルでの利益を証明し、低炭素またはクリーン燃料市場への道を確保し、ネットゼロまたはネットネガティブGHGエタノールの需要と価値を高めることである。

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(参考和訳)
GHG排出ネットゼロおよびネットネガティブエタノールの実現 .pdf

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