「エタノール・プロデューサー・マガジン2023年4月号」より『アルコールからジェットへ、SAFプラットフォームの主流になる可能性』

「エタノール・プロデューサー・マガジン2023年4月号」に掲載された『Alcohol-to-Jet Could Become Predominate SAF Platform』の参考和訳を掲載いたします。

(参考和訳)

アルコールからジェットへ、SAFプラットフォームの主流になる可能性

2023年3月13日|
トム・ブライアン エタノール・プロデューサー・マガジン社長兼編集者

持続可能な航空燃料「sustainable aviation fuel (SAF)」の世界的な需要を満たすのは、現時点では油脂とアルコールベースの原料である。現在、植物油や飲食店の廃油、動物性の廃棄物などのSAF原料としての供給は限界に達している。バイオジェット燃料の争奪戦はまだ始まったばかりなのにもかかわらず、使用済み食用油はキッチンから出る前にすべて回収先が決まってしまっている状況と言える。コーン油も、再生可能ディーゼル燃料のために非常に高い需要があり、大規模な大豆粉砕工場(ノースダコタ州に建設中工場の建設費は4億ドルと言われる)が建設されている。再生可能ディーゼルと、脂肪酸や水素化処理したエステルから製造される目覚ましいSAFの供給があるが、それらから世界に供給できるSAFは多く見積もっても数十億ガロンである。かなりの量ではあるが、米国エネルギー省によると、2050年までに全世界で1000億ガロンのSAFが必要になると言われている。この数字に少しでも近づくには、「CO2-合成ガス」の利用か、エタノール、それもトウモロコシ原料エタノールを使うしかない。

SAFの生産は一般的にまだ始まったばかりで、アルコールからジェットへの変換も商業規模ではまだ始まっていないのが現状である。しかし、エタノールがどこにでもあり、クリーンで、性質がよくわかっていて、かつ化学変換が容易であることから、世界の主要航空会社が、その使用を熱望している。航空会社の中には、できるだけ二酸化炭素排出量の少ない燃料を得るために、穀物以外を原料とするエタノールを使用したいと考える会社もある。例えば、サウスウエスト航空とD3MAXのパートナーシップであるSAFFiRE Renewablesは、トウモロコシの茎葉を原料とするエタノールからのSAFを追求している。ランザジェットは、ジョージア州に建設中の基幹工場で、まずサトウキビエタノールを使い、後に第二世代エタノールを使う予定である。しかし、皆がセルロース系を追い求めている訳ではない。少なくとも航空会社の何社かは、米国のエタノール生産者がトウモロコシ原料エタノールのCI(炭素強度、温室効果ガス排出度)がSAF利用のために十分なレベルまで低くなると見込んでいる。Green Plains社、Tallgrass Energy社、United Airlines社の3社パートナーシップであるBlue Blade Energy社は、低CIトウモロコシ原料エタノールからのSAF製造を追求しており、Gevo社もいくつかの航空会社とオフテイク契約をしている。現時点では、どちらもトウモロコシ原料エタノールからジェット燃料を製造していないが、必要となる量、インフラ、信頼性などの規模の大きさから、風向きが変われば、事実上一夜にして最大のSAF原料になる可能性がある。

トウモロコシ原料エタノールをSAFの原料としてふさわしいものにするためには、炭素の回収と隔離「carbon capture and sequestration (CCS)」が大きな可能性を秘めている。エタノール工場の近くにCO2を隔離する地層がある場合には、独自にCO2隔離をすることが可能である。さらに今後は大規模なパイプラインによってエタノール工場とCO2隔離可能な地層を結んでCCSが行われるようになる。

以下から参考和訳と英語の原文をPDFデータにてダウンロードできます。

(参考和訳)
アルコールからジェットへ、SAFプラットフォームの主流になる可能性.pdf

(原文)
Alcohol-to-Jet-Could-Become-Predominate-SAF-Platform.pdf

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